ペットロスの具体的な症状
ペットロスについては、日本ではまだまだ認知度が低いのが現状です。
悲しいことにはペット葬儀を行う業者さんの中にもペットロスをしっかり理解されていない方もいらっしゃいます。それも、飼い主さんに直接対面する従業員の方までがきちんと理解できていて、適切に対応できるペット葬儀会社はそれほど多くありません。
ここでは少しでもペットロスへの理解が深まることを願い、ペットロスの具体的な症状について詳しく紹介したいと思います。
まずペットロスとは、ペットを無くした事によるショックなどで急激に変化した心理状態のことを言います。
具体的には、
・呆然として何も考えられなくなる
・周囲に対する怒りを覚える
・自分への罪悪感にさいなまれる
・何もやる気が起きなくなったり、拒食症になる
・急に悲しくなったり、上手く話せなくなったり、感情が不安定になる
などの症状があり、そうした状態が続く期間や程度は飼い主さんによって様々で、一概には言えるものではありません。ただ、ペットを家族以上に可愛がるなどいわば「依存」とも言えるほどペットとの距離を保てなくなっているような方ほど、深刻なペットロスからなかなか抜け出せないという傾向があると言われています。
ただ理解して頂きたいことは程度の差はあっても基本的に全ての飼い主さんにペットロスは訪れる、と言うことです。
ですので、飼い主さん自身はそうした心境に自分がなって、自分の感情をコントロールできなくなったとしても、それを異常なことだと考えて自分自身を否定したりは決してしないでほしいと思います。
また、ペットを亡くした飼い主さんの周囲の人やペット葬儀会社の担当者の方は、飼い主さんはそういう心理状態になるということを理解し、それを受け入れてあげてほしいと思います。
ペットロスの心理状況
ペットロスの程度や期間は人によって様々なのですが、ほとんどの方が次のような2つの段階で心理状況が変化すると言われます。
まずペットを亡くされて間もない時期にはそのショックで呆然とする段階が最初に訪れ、そのショック状態がある程度治まってからは怒りや罪悪感、脱力感、情緒不安定などの、悲しく苦しいという段階が訪れます。
ここではそれぞれの段階で具体的にどういう気持ちになるのかを私が見聞きしたことも含めて書いていきます。
【ショックで呆然とする段階】
まず、ペットを亡くした直後は多くの方がペットが亡くなったことを現実のものと受け入れることができません。このことは事前に死が訪れるとわかっているかどうかはあまり関係はありません(事前にわかっている場合はそれを受け入れるまでの時間は短くなる傾向はあります)。
「死んだなんて信じられない」「死んだんじゃなくて眠っているだけ」と言っている飼い主さんを見たことがあります。また、周囲の人から亡くなったと伝え聞いたときなどは、「そんなことはあり得ない」「絶対にうそだ」と、伝えた方に対して反発する方もいらっしゃいます。
これは何もおかしなことではありません。絆が深ければ深いほど、そういう気持ちになることは人間に対してだけでなく家族同様に愛したペットであっても同じなのでしょう。死という衝撃的な出来事に対する心の拒絶反応・防御反応とも言える、心の正常な反応だと思います。そこまで強い拒絶反応を示さなくとも、たとえ事前にペットの死を覚悟していたとしても、その現実を突きつけられた瞬間から少しの間はどんな飼い主さんでも呆然とするものです。
もしこれをお読みいただいている方の周囲にそうした飼い主さんがいらっしゃったとしたらお願いしたいのですが、飼い主の方がそうした(周囲からは想像できない)反応を示すということを理解してあげてほしいと思います。それほど、人間は愛するものの死に対しては弱い生き物なのです。
ただ、現実にペットの死は訪れています。最初は拒絶していようとも、時間と共にそのことが現実なのだということを飼い主さんも理解し始めます。そうするとペットロスの第二の段階、悲しさと喪失感に苦しむ段階に入ります。
【悲しさと喪失感に苦しむ段階】
体的には(死の訪れ方にもよりますが)まず怒りの感情が強く表れます。
例えば動物病院で亡くなった場合はその獣医さんに対して、「なぜ救えないんだ!」と詰め寄ったり、事故で亡くなった場合はもちろんその事故を引き起こした相手に猛烈な怒りをぶつけ、仕返しすら考える方もいます。さらには、ペットが亡くなっても平然としている家族に対してまで怒りを覚えたり、何もメッセージを残さずに亡くなったペットに対しても「なぜ勝手に旅立ってしまうんだ」といらだってしまうこともあります。
しかし、そのペットの死が避けられなかったことがわかると最初は怒りを撒き散らしていた飼い主さんも次第に自分自身でその怒りが理不尽であることを悟って、だんだんと怒りが薄れてくるようになります。
すると次に、罪悪感や悲壮感の感情が入り交じって表れ始め、無気力になったり情緒不安定になったりするなどの意気消沈症状が感じられるようになります。
自分がもっと注意していればペットを救えたのではないか、もっと早く病気に気づいてあげることができたのに気づかなかった自分は飼い主失格ではないかなどと考えてしまったり、また、安楽死などで自らの意志によってペットが最期を迎えた場合などは特に罪悪感は強く、その選択をした自分を責めてしまうことがよくあります。
そうした罪悪感と同時にペットがいない悲しさを、時間の経過とともに実感していくことになります。
ふとしたきっかけでペットが生きていたことを思い出し、しかし目の前にはいないという現実とのギャップを感じて急に悲しくなってぼろぼろと泣いてしまったりもします。飼い主さんの言葉を借りると「体の一部が失われてしまったような感覚」というほどの喪失感を感じる方も少なくはないのです。
こうして罪悪感や喪失感から、影響が大きい場合には食欲不振や睡眠障害などの症状が見られることもよくあります。ただ、これは健康面でもよくありませんし、体調が悪くなると精神面もますます病んでしまうという良くないサイクルに入ってしまいますので、あまりに症状が長く続く場合は専門家の方に相談するなどの対応が必要にもなってきます。
こうしたペットロスの第二段階は一般的にはペットとの別れから数時間から数日で始まって、通常2週間以内に最も強く影響が表れるというに言われています。ただ、最初の頃はこうした状態が頻繁に起こりますが、次第にその頻度は減っていくという方が多いようです。
これらが大まかなペットロスの具体的症状になります。実は私自身も自分の飼っていた犬が亡くなったときにはこうした感情を経験しました。そのときは本当に悲しい気持ちになり、わんわん泣いてしまいました。でも今考えると、それは愛する家族の死を受け入れるためには避けては通れない、こころのごく自然な反応だったのだろうと思います。
